レールアテンダントガール

LINEノベルオリジナル作家のみなさんへインタビューする本企画。
今回はライト文芸レーベル"LINE文庫"から9月に刊行される『レールアテンダントガール』を執筆された豊田 巧さんへお話を伺いました。

「旅の印象を大きく変える重要なファクター」創作意欲を掻き立てた“車内販売アテンダント”


――今回の作品『レールアテンダントガール』のコンセプトはどのように決まったのでしょうか? 

私は『電車で行こう!』(集英社みらい文庫)や『RAIL WARS!』(Jノベルライト文庫)『鉄警ガール』(角川文庫)など鉄道を舞台とした作品を書くのが得意でした。そこへLINEノベルさんから「なにか書きませんか?」とお話をいただき、「なにがいいかな」と思いながら取材へ出かけた時に、とある路線の観光列車でとても楽しそうに車内販売をしているアテンダントさんを見かけたのです。

そのアテンダントさんは、お客様に向けて車窓から見える山や川について観光案内をしているかと思いきや、次の瞬間にはワゴンを押して明るく笑顔を振りまき、大きな声で楽しく商品の説明をするという八面六臂の活躍をしていたのです。おかげで観光列車内の雰囲気は明るく、皆さんとても楽しそうで、商品も飛ぶように売れていました。

その時「アテンダントさんって、旅の印象を大きく変えてしまう重要なファクターなんだな」と思い、アテンダントさんの話を書いてみようと思いました。


――車内販売担当の主人公・木古内七海のキャラ設定は、どのよう決めていきましたか?

現役アテンダントさんの書いた本をいくつか読ませていただいたのですが、素晴らしい考え方の人たちが多く「私が若い頃だったら憧れるだろうな」と思いました。

そこで、もしも私が書いた児童書に登場するようなキャラクター性の少女が、小さな頃に「大きくなったらアテンダントになりたい!!」という想いをもったとしたら…と思い浮かべながら作ってみたら、自分の想いにストレートで、正義感にあふれた木古内七海が誕生しました。 

――実際に内情を知らないとなかなかリアルに書くことが難しそうな題材ではありますが、作品を書くときに取材などはされましたか?また、取材をされる場合に心がけていることなどを教えていただけますでしょうか。 

『電車で行こう!』シリーズを書いた時から、基本的に「取材してできるだけ見えたことを書こう」と心がけてきました。今時、全国へフィールドワークに出掛ける小説家は少ないのですが、私は鉄道旅行が好きなので、趣味と実益を兼ねて舞台となる新幹線、駅などは細かく取材しています。
問題はアテンダントさん達が半分以上過ごす営業所や研修施設のことでした。東京駅で我々が見るアテンダントさんは、既にワゴンを持ちピシッと制服を着こなした状態ですが、『どこからホームに出てきたのか?』『ワゴンにはどこで積みこんでいるのか?』など、ホームにいては分からないことばかり。
かなり悩んでいた矢先、他のコンテンツでとある会社さんを取材させて頂けることになったんです!おかげでかなりリアルに描写できたかなと思います。もちろん、物語に登場する内容は全てフィクションですが……。

――本作で力を入れたポイントを教えてください!

最初にコンセプトを決める時に感じた『アテンダントさんは旅の印象を大きく変えてしまう重要なファクター』であるということを、読んでいる皆さんにも感じていただけたら、と思っています。
アテンダントさんがワゴンを押す時も、デッキに立ち止まる時も、おつりを渡す時も、飲み物をテーブルに置く時も、とてもお客様のことを気づかっているということを、この本を読んだあとに意識してもらえたら嬉しいです。
そして、アテンダントさんは車内販売だけではなく、実は車内の安全の一翼を担っているので、そんな一面も私が「RAIL WARS!」シリーズで培ってきた、鉄道ジェットコースターアクションで楽しんでいただければと思います。小説を読んでいる間は、自分が新幹線に乗りアテンダントをやっているような旅情感を味わってください。

描き切れない鉄道の世界――「好き」というエネルギーが物語の力に。


――最初に小説を書かれたのは集英社みらい文庫の「電車で行こう!」かと思いますが、執筆する際に苦労した点を教えてください。

私は元々宣伝プロデューサーだったので、小説は短編すらも書いたことがありませんでした。ですので、「電車で行こう!」の一巻を書き上げるまでには今の数十倍の日数がかかり、途中で挫折しそうでした(笑)。

きっと小説家志望なら、あまりの指摘と手直しの多さに心が折れたと思いますが、そこは単に宣伝プロデューサーでしたので「納品しないと意味がない」という想いで、とにかく「出しては戻され」を数十回繰り返し出版することができました。

そうやって出した「電車で行こう!」が現在33巻まで続いており、最初に「小説とはなんたるか」を御指導いただけたことが、本当によかったと思っています。 


――普段はどのような時間やシチュエーションで作品を書かれているのでしょうか?

私は完全な夜型なので、深夜から早朝まで書いています。
元々「小説家なんぞで私が食べていけるのかな?」と不安に思っていたので(笑)、自宅で唯一空いていた四畳半の衣裳部屋で座椅子に座って書いていたのですが、座椅子というのは一日18時間座り続けるように作られていないらしく…多少高い座椅子でも、一冊書くとだいたいクッションがペシャンコになって、骨組みがお尻にあたる状態になるので、腰痛にも悩まされるようになりました。

そこで、少し入金があった時に机と椅子を買って、今は一日中熊のような姿勢でパソコンをバスバス打っている毎日です。外へ出るのは取材と飲み会だけという、ありがたくも忙しい執筆天国の日々を過ごしています。


――ひとつの作品を書く際の工程や作業期間を教えてください。
児童文学なら一週間、ライトノベルや文芸作品は二週間が基本です。ただ、一巻目は取材、設定、キャラクター作りなどに時間が掛かるので多少伸びますね。


――作品を書き続けていくために心掛けていることはなんですか? 

読み終わった皆さんに「なにかひとつでもプレゼントをお届けできるように」と心掛けています。店頭にあるたくさんの本の中から私の著作を選んで、最後まで読んでいただいたのに「なんだよ、これ?」と思われないよう、一生懸命設定を練り込み、リアリティ向上のために取材に行き、皆さんに愛されるキャラクター達を作り出したいと思っています。

――これまでも鉄道をテーマに書かれていますが、ネタが尽きることはないのでしょうか?

昔、とある大御所鉄道作家の先生から「鉄道も列車もどんどん廃止されるから、鉄道ミステリーは廃れていく」とお聞きしました。

確かに十数年前にはそういう傾向があったのですが、最近は「鉄道」というものが見直されて、新幹線は再び日本中の地方を目がけて建設ラッシュが続き、中央リニアが開業直前、路面電車の建設が各地で決定し、観光列車が町おこしの起爆剤になってきました。数年前の鉄道ニュースがあっという間に古くなってしまうくらい鉄道のニュースが次々に現れるので、ネタが尽きることはありません。

鉄道現場で働く人たちも数千万人におよび、まだまだ描けていない素晴らしい方々がいるので、たぶんこれからも私は、鉄道の世界を書き続けられると思っています。


――作品を書いていて、筆が進まないことはありますか?また、そういう時の打開策も教えてください。

もちろんあります。そういう時は素直に遊びに出かけます。お金と時間がない場合は、なにも計画して遠くへ行かなくてもいいんです。
鉄道ファンの間では「関東大回り」という乗り方があって、八王子→高崎→小山→友部→日暮里→東京→新宿→豊田を140円で回れます。 気合を入れればもっと大きく回れますよ!ちゃんとルールを守ればキセルにはなりません。そんなルートをビールを飲みながら回って、無人駅のホームに降り立ち(駅から出ちゃダメ)、エキナカのお店でご飯を食べていると、お客さんを見ているだけで新たなキャラクターを思いつきますし、なにかトラブルが発生してエピソードが浮かんだりするものです。
そうしていると夕方には「パソコン打ちたい」と思っていることが多いですね。

―――鉄道好きの豊田さんらしい打開策ですね!やはり読者の方の感想など気になるものなのでしょうか?

もちろん気になります。小説家といっても人間ですからね。怒られるのが辛い(笑)。

「好きなことへの努力は苦しくないはず!」


―― これからチャレンジしていきたいことはありますか?

私を小説家にしてくれた鉄道で「多くの人が笑顔になれるように」これからも、執筆を通して色々なことに挑戦していきたいと思っています。 


――作品を期待されているみなさまに一言お願いします。

木古内七海を始めJCS(ジャパンカフェテリアサービス)のメンバーが皆さんに愛されて、旅の続きをどこまでも描けますことを心から願っています。キャラクターを作り出すのは小説家ですが、命を与えてくださるのは読者の皆さんです。なので、私があとがきによく書くメッセージを皆さんにもお送りします。


Special Thanks ALL STAFF and YOU!

 

――それでは最後に、これから投稿するユーザーのみなさまにアドバイスや応援の言葉をいただけますでしょうか!

私も、これから投稿されるユーザーさんも、なんら違うところはなく、その距離は1メートルも離れていないと思っています。きっと書いていると辛い瞬間もあるかもしれませんが、好きなことへの努力は苦しくないはずなので一緒に頑張りましょう!!たぶん、小説家と名乗る人達も、同じようにのたうち回っているはずです(笑)。
どんな世界でも「なんとかは一握り」って言われちゃいますけど、せっかく楽しいエンタメ業界にいるんですから、「自分はそこへ入れる」と根拠のない自信を持って、LINEノベル仲間として一緒に楽しくやっていきましょう。
私にできることがあるなら、宣伝、応援しますので、いつでも気軽にメッセージください。


書籍情報

内容紹介
念願叶って、新幹線の車内販売を担当するJCS(ジャパンカフェテリアサービス)に就職した木古内七海。
彼女の夢は、特別車両であるグランクラスの専属アテンダントになること!
とはいえ、新米アテンダントの七海にとってそれはまだまだ遠い先の話で、先輩や同期、周囲の人たちに支えられつつ、なんとか日々の業務をこなすのに精一杯。
車内で出会うお客様も千差万別で、修学旅行生、出張する会社員、そして何やら怪しい集団――!?
業務にハプニングはつきもの……だけど事件はご勘弁ください!
鉄道エンタメ小説の第一人者が贈る、読むと元気になるお仕事小説。

著者について
著者:豊田巧
ゲームメーカーで電車運転ゲームなどの宣伝プロデューサーとして活躍したのち、2009年に『鉄子のDNA』を刊行。
2011年に『電車で行こう! 』で小説家としてデビューし、同作はスペシャル版も含めて既刊が30冊を超える大人気シリーズに(2019年現在)。
アニメ化もされた『RAIL WARS!-日本國有鉄道公安隊』や、『鉄警ガール』ほか、鉄道・ミリタリーなどのジャンルを中心に活躍中。

無料で試し読み
LINEノベルで読む

購入はこちら