取締役は神絵師

LINEノベルオリジナル作家のみなさんへインタビューする本企画。
今回はライト文芸レーベル"LINE文庫"から9月に刊行される『取締役は神絵師』を執筆された水沢あきとさんへお話を伺いました。

現代のワークスタイルが生んだニューヒロイン


今回の作品『取締役は神絵師』のコンセプトはどのように決まったのでしょうか?

最初に、魅力的なヒロインを生み出すことに注力しました。
人には言えない秘密を持ち、【表の顔】と【裏の顔】を持ったヒロインです。
そして偶然その秘密を知った主人公が、“ヒロインを守るために奮闘する”というお話の骨格を作り、その上でどのような【秘密】が良いか考えました。

執筆当時、企業勤めの人が本業以外に他の仕事を持つ副業や、主となる仕事を掛け持ちするパラレルキャリア(複業)といった働き方が話題になっていたんです。僕もそのような働き方を十年以上続けてきたこともあり、「複業していることを秘密にしているヒロインはどうだろう」という発想に至りました。
そうすることで、なぜ複業を始めたのか、どうして辛い思いをしてまで複業を続けているのかという【複業会社員】の葛藤も描けるので、作品のコンセプトが固まっていきましたね。

そして偶然その秘密を知った主人公が、“ヒロインを守るために奮闘する”というお話の骨格を作り、その上でどのような【秘密】が良いか考えました。


取締役は神絵師①

ヒロインの複業に【絵師】という職業を選ばれた理由をお聞かせください。

僕も含めて、LINE文庫・LINE文庫エッジの読者層は、普段からイラストを見たり描いたりすることが多いのではないかと思います。そんな僕達にとって、美麗なイラストを生み出す【神絵師】は憧れの存在ですが、その正体が“身近な人物である”という展開は、実生活においても「無さそうでありそうだな」と思ったんです。そこから、ヒロインの複業に【絵師】を選ぶことによって、よりリアリティをもって物語を楽しんでいただけるのではないかと考えました。

本作の読みどころを教えてください。

まずは、ヒロインと主人公の関係性です。
会社の役員でクールなヒロインの【裏の顔】が人気神絵師であるという秘密を知ってしまった主人公が、彼女の複業を応援すべく奮闘するところと、そんな主人公に次第に心を開いていくヒロインの感情の動きに注目していただけると嬉しいです。
それから、主人公たちが仕事で扱う自動運転技術などの最新IT技術を巡る動向にも注目していただきたいですね。過去の作品でもそのときどきで扱ってきたIT技術が、本作でも健在なので、読み終わった後はその分野に少し詳しくなれるかもしれません。

もちろあとは……ヒロイン・柳野春乃の可愛い描写でしょうか!

取締役は神絵師②


残業月100時間の生活の中で浮かび上がったもうひとつの道


最初に小説を書き始めたきっかけを教えてください。

学生時代から、小説・漫画・映画・ゲームなどのエンタテインメント作品には慣れ親しんでいたものの、大学の研究などで忙しく、自分で物語を作ることはありませんでした。
その後新卒で入ったIT関連企業では、残業時間が常に月100時間を超える典型的な炎上プロジェクトに配属されてしまい、体調を崩したり、過労死したりする先輩や取引先の人を見ているうちに、「自分もいつ死んでも後悔しないように、今のうちにやりたいことをやっておこう」と思うようになったんです。


それが、僕にとっては物語を創る――小説をかくことでした。

過酷な環境に身を置きながらも、自分の人生を悔いなく生きようとする姿勢がとても素敵です。かなりお忙しいと思うのですが、普段はいつ作品を書かれているのでしょうか?

現在は執筆業の他に複数のIT企業等で働いていて、システムエンジニア業など仕事も複数抱えているので、その合間に書いています。
週のはじめに、手帳に一週間分の行動予定を書くのですが、他の仕事と同じように執筆にあてる時間を予定として組み込んでおくことで、原稿の進みが遅くならないように気をつけています。
もっとも、いつも予定通りに進むという事はなく、〆切前になると移動中の電車の中で書くこともしょっちゅうです……。

昔は原稿を書く時間を捻出するために、週一のペースで出張を入れていた時期もありました。

移動中の新幹線の中や搭乗前の空港だと、執筆を切り上げなければならない時間が決まっているので、集中して原稿が書けるんです。

作品を書いていて、筆が進まない時はありますか?また、そういう時の打開策を教えてください。 

展開で悩んだときなどに筆が進まなくなることがあります。
そういうときは、執筆とは違う仕事をしたり、スポーツジムに行って血行をよくしたりすると自然にアイデアが浮かんでくることが多いです。
一泊くらいで小旅行に行くこともありますね。普段とは違う環境に身を置くと、いつもと全く違う発想が浮かびやすくなります。

本当に詰まってしまったときは、数日間小説のことを考えずに別の仕事をすると、大体解決します。

【複業】をされている水沢さんならではの打開策ですね。では、作品を書くときに大切にしていることを教えてください。

読者の方が読み終わったときに、少しでも「この本を読んで良かった」と思ってもらえるような作品をお届けできるよう心掛けています。
「面白かった」「楽しかった」「キャラクターが可愛かった、格好よかった」といった感想はもちろん、お仕事をテーマに扱うことが多いので「新しい知識を仕入れることができた」という満足感を得ていただけるように意識しています。
テーマとなるお仕事についてはきちんと調査・取材を行い、自分が詳しく知らない分野については、色々なツテをたどって専門家に取材をさせていただくこともありますね。

 


「将来的にはAIを活用した創作活動を」――無限に広がる創造力


これからチャレンジしていきたいことはありますか?

小説だけでなく、漫画原作などもっと創作の幅を広げていきたいなと考えています。システムエンジニアとして、ここ数年機械学習(AI)領域の仕事をしていることもあり、将来的にはAIを活用した創作活動というものにも取り組んでみたいですね。こういうことに挑戦できるのも、複業のメリットです。 
なんて実はこれ、もし続刊が出たら主人公たちにやってもらおうかな、と考え中なのでネタバレになってしまいますが……。

LINEノベルに期待されていることを教えてください!

読書の形は時代に合わせて変わって良いと思います。
LINEノベルには、機能追加が容易なデジタルプラットフォームの特性を活かし、新しい読書体験や執筆体験の提供など、新しい試みにどんどんチャレンジして欲しいです。

作品を期待されているみなさまと、これから投稿するユーザーのみなさまに一言お願いします!

 「面白かった!」と言っていただけるような作品に仕上がったと自負しています。是非、ご一読ください!

そして、これから投稿するユーザーのみなさん、面白い作品を読ませてください。僕も楽しみに待っています!




書籍情報

内容紹介
複業時代の新感覚お仕事・エンターテインメント!
漫画家の夢を諦めシステムベンダーで働く主人公・岩見。
慣れない仕事に悪戦苦闘する毎日だったが、取締役で年下の女性上司・柳野から受け取った資料の中に、有名絵師の生イラストが挟まっているのを発見する。
「見ました……?」
クールで厳しい年下の上司は、実は神絵師だった!?
夢と仕事。両立という最も厳しい道を選んだ柳野と、かつて夢を諦め、後悔しながら生きる岩見。
二人の行く末に待ち受けるのは……?

著者について
著者:水沢あきと
都内在住のシステムエンジニア、小説家。2006年、メディアワークス社主催・第6回電撃hp短編小説賞(銀賞)受賞。

イラスト:笹森トモエ

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2019-09-05