井上悠宇『やさしい魔女の救いかた』タイトル画像


LINEノベルオリジナル作家のみなさんへインタビューをする本企画。
今回はライト文芸レーベル"LINE文庫"より11月に刊行される『やさしい魔女の救いかた』を執筆された井上悠宇さんへお話を伺いました。


『やさしい魔女の救いかた』あらすじ
魔法が当たり前に存在する現代世界。
ごく少数だけいる魔法使い――魔女は古来より人々の悩みを魔法で解決していた。
ある日、いつも六法全書を小脇に抱えている法律マニアの男子高校生の四方司は、魔法を悪用した疑いで魔女裁判にかけられそうになった見習い魔女から助けを求められるが――。
今も昔も魔女裁判で無罪になった魔女は存在しない。

これは、ルールは人を幸せにすると信じる少年が、魔法は人を幸せにすると信じる少女を救う物語。


法律が魔女を追い詰める!? 新しい“魔女裁判”の物語

『やさしい魔女の救いかた』のコンセプトはどのように決まったのでしょうか?

もし現代に魔女がいたら、生きづらいだろうなって思ったことからです。
たとえば、誰も触れていない金庫の中にあったお金がなくなっていた時、その場に魔法という万能の力を使える魔女がいたら、みんな魔女の仕業だと疑いますよね。
でも、魔女が魔法は使いませんでしたって言っても誰も信じてくれない。なぜなら、現に魔法を使えば盗めるし、他の誰も盗めなかったのであれば、消去法で魔女の仕業に違いないので。
でも、本当に魔女の仕業ではなかったとしたら?どうすれば、魔女は自分の無罪を証明できるのか。
そこから、“すぐに疑われる現代の魔女を助ける物語”というコンセプトができました。 

――“魔法を使えるがゆえに疑われてしまう魔女を救う”という発想は、とても新鮮で面白いと感じました。主人公とヒロインのキャラクター設定はどのように決めていかれたのですか?

コンセプトに従うと“すぐに疑われる魔女”は、悪い魔女ではいけません。
「魔法は人を幸せにするために使いたいの」みたいな、とびきり善人でホワホワ思考の魔女。
あと、守ってあげたくなるような可愛い小動物な感じ、というところから、ヒロインを作りました。
それに対して、そんなやさしい魔女の敵は現代世界の法律なので、そいつに勝てるヒーロー。
六法全書をこよなく愛する法律マニアの少年、として主人公を作りました。

――法律マニアの少年が魔女を救う……。今までにないタイプの物語でワクワクします!特に思い入れの強いキャラクターはいますか?理由も合わせてお聞かせください!

魔女みたいな風貌の夜月という少女です。
彼女は主人公たちにとってライバルなんですが、わかりやすい“悪”ではない。
この物語は、それぞれの“正しい”と“正しい”がぶつかる話なので、夜月も正しいんです。
正しいのに敵として立ち塞がるという、難しい役どころを任された彼女が、きちんと期待に応えてくれたので。 

――夜月に対する言葉の掛け方にキャラクターへの深い愛を感じます。井上さんは普段、作品を書かれる際にロケハンや取材に行かれることはありますか?

基本的には取材に行かず、必要があれば、ネットで調べます。

――それでは、本作の読みどころを教えてください!

“現代の魔女裁判”のシーンです。
うまく二転三転する法定バトルに書けた自信があるので、手に汗握って読んで欲しいです。


「うまくいかない時は、映画を見るとか本を読むとか知らない場所に行くとか、書くこと以外のことをします」

――最初に小説を書き始めたきっかけを教えてください。

家にあったワードプロセッサーを見つけて遊んだことからです。
当時、僕はまだ幼くて文字を打って遊んでいたんですが、無意味な文章を作るだけに飽きてしまって。
そこでペンギンの兄妹が流氷に乗って世界を冒険する話を書きました。 

――とても可愛らしいエピソードですね!影響を受けた作家さんはいらっしゃいますか?

村上春樹さんは間違いなく影響を受けていると思います。
中でも『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』が一番好きです。

――これまでの執筆活動の中で苦労したこと、嬉しかったことを教えてください。

続編は苦労します。一作目を越える二作目、二作目を越える三作目にしなければと、考えてしまうので。
読者さんに「面白かったです」と言われるのが一番嬉しいですね。 

――作品を書いていて筆が進まないことはありますか?そういうときの打開策も合わせて教えてください。

僕はいったん書き始めると、最後まで筆が止まらないタイプです。
その分、プロット作りに時間がかかるのですが、うまくいかない時は、映画を見るとか本を読むとか知らない場所に行くとか、書くこと以外のことをします。
その時に面白いなって思ったことの“何が面白かったのか”を後からよく考えると、それがアイデアになったります。

――気分転換は大事ですよね。普段はいつ、どのようなシチュエーションで作品を書かれることが多いですか?

執筆時間は、夜です。集中できるので。
外では人の目が気になるので書けません。

――人の目って気になりますよね。それでは、作品を書き続けていくために心掛けていることをお聞かせください。

まず、読者に楽しんでもらえる面白い作品を書くこと。
その次に、自分が面白いと思える物語にすること、です。


読み手の満足を得られる物語を――未来の小説家へのメッセージ

――これからどんなことにチャレンジしていきたいですか?

本を一年に三冊くらい出版したいなと思います。

――LINEノベルに期待されていることを教えてください!

みんなが持っているスマホで、いつでも気軽にクオリティの高い面白い物語に触れられるサービスの場所。
どんな世代の人でも、読書を楽しんでもらえる場所になって欲しいと思っています。 

――ありがとうございます。それでは作品を期待されているみなさまにメッセージをお願いします。

え。頑張ります。

――最後に、これから投稿するユーザーのみなさまにアドバイスや応援の言葉をいただけますでしょうか。

一番大事なのは読み手に楽しんでもらえることですかね。
自分が面白いと思うことも大事ですが、それ以上に、読み手の満足を得られる物語にする。
それには、きちんと初めて、きちんと終わらせる。
そんな意識を持った方がいいのではないかと思います。 
 



書籍情報

著者について
著者:井上悠宇
2011年スニーカー大賞の優秀賞を受賞。
著書に『城下町は今日も魔法事件であふれている』(角川スニーカー)『きみの分解パラドックス』(富士見L)『誰も死なないミステリーを君に』(早川書房)など。

イラスト:けーしん
書籍の装画やキャラクターデザインを手掛ける。
武田綾乃著『石黒くんに春は来ない』や2019年12月公開予定のアニメ映画「ぼくらの7日間戦争」のキャラクター原案を担当している。


無料で試し読み
LINEノベルで読む


購入はこちら