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昨年、太宰治『人間失格』を原案としたSFアニメ映画「HUMAN LOST」でノベライズを手掛けた葵遼太さん。そんな葵さんが初のオリジナル書き下ろし小説として発表されるのが『処女のまま死ぬやつなんていない、みんな世の中にやられちまうからな』(新潮文庫nex、5月28日発売)です。

『いなくなれ、群青』など数々のヒット作を担当してきた新潮社の編集者、高橋裕介さんが「今年イチオシの勝負作!」と太鼓判を押す本作。文庫刊行に先駆けて、LINEノベルで作品が全文、無料先行公開されることを記念して、作者の葵遼太さん、担当編集の高橋裕介さんのお二人にインタビューを行いました。

凸凹のキャラ達がなぜか噛み合う、にやにやと涙が止まらない本作

ーどういう想いを持ってかかれましたか?着想はどこからきましたか?
葵:作品を書く時は、キャラクターたちを愛でることばかり考えていました。凸凹っていうか、普通ならかみ合わないだろう人物たちが、奇跡的にぴたっときている感じを書くのが楽しくて。喋るのが得意じゃない座敷童みたいな女の子が、ものすごく美形なギャルとメトロノームの真似をしている、とか。想像するだけで愉快だな、と。

テーマは、強いて言えば、小説にも引用したヴァルター・ベンヤミンの言葉が出発点だったかもしれません。人が本当に困難の中にあるとき、それを救うことができるのは、彼を思う誰かの心なのだ、ということ。正確にはベンヤミンはそんなことは言ってないんですけど(笑)。

ー高橋さん、はじめて原稿を読んだ時の感想を教えていただけますか?
高橋:泣きました。日常描写ではにやにやが止まらなかったですし、2章と3章の盛り上がってくるシーンでは、もう涙が……。僕は涙腺が緩いので、帯に「涙」とか書いてある担当作は大体自分で泣いちゃっているんですが(苦笑)、この作品もまさにそれです。

ー涙なしには読めないと。
高橋:そうですね。初校や再校を含めて、既に5回以上は読んでいると思うのですが、何回読んでも口元が緩むし、目元は霞むんですよね。いい小説だな、素晴らしい作品だな、と思います。

ー葵さんにとって本作はどんな作品ですか?
葵:ばかばかしくて、明るくて、楽しくて、にやにや笑ってしまう小説にしたいという気持ちで書きました。

現実と同じようにあまり楽しくないことも起きてしまう中で、それでも明るさや楽しさを見いだせる小説になっていたらいいなあと思っています。

ーたしかに読みながら思わず笑ってしまう場面がたくさんありました。どのようにキャラクター作りをされましたか?
葵:小説の中の時間は彼らの人生の一部に過ぎない、ということを考えていました。ここに至るまでの過去があり、ここから先の未来が(おおむね)ある。特に主役ではない人物たちについて、そのことを強く意識していました。

ー笑える部分もある一方で、主人公は重い過去を背負っています。描く時に意識されたことはありますか?
葵:そうですね……。先ほどと重なる部分がありますが、起こる出来事の都合で、ともすると小説全体が「閉じて」いってしまう傾向を持ちかねない、という嫌な感触がありました。

あるキャラクターが「悲劇は都合よくお前だけを主人公には選ばない」という意味のことを、こともあろうに主人公に対して言う場面があるんですね。

それを打ち消すために、常に「いま、ここ」「自分」「自分たち」だけが世界のすべてではない、ということを書こうとしました。世界は開かれているし、自分だけが特別なわけではない。そのことさえ意識していれば、どんづまりになることはないだろう、と。

ーまた、学校の空気感やバンドなどすごくリアルで"青春"という感じがしました。舞台設定はどうやって決まったのでしょうか?
葵:実はバンドの経験がないので、その周辺のリアリティにはまったく自信がないんですが……。「青春」って、特権的なものじゃないし、進行形で語るものでもない。本来、振り返るときに使われるべき言葉なのだと思います。大人になって振り返ってはじめて「あれが青春だったのか」って気づくもの。

ーたしかに青春の真っ只中だと気づかないかもしれないですね。
葵:そうなんです。だからそれを書こうとすれば宿命的にノスタルジーにならざるを得ない、という、ある種の諦めはありました。変にリアルを目指しすぎないで、いまの僕が振り返って思う「高校生」の形が表現できればいいかなって。設定は一から十までフィクションですが、やっぱり高校時代のことを思い出しながら書いてた部分はあります。

ーなるほど。ちなみに思い入れのあるキャラクターはいますか?
葵:もちろん全員に愛情を持ってますが、思い入れというなら、武彦君でしょうか。彼が一番、僕にとって身近です(笑)。


編集者・高橋さん「今年の勝負作です!」

ータイトルにインパクトがありますよね!カート・コバーンの言葉からきていると作中にありましたが、すんなり決まったのでしょうか?
葵:実は、初稿の段階では別の仮題で送りました。原稿を読んだ高橋さんが「タイトルは『処女のまま~』がいいと思います」というので、「カート・コバーンが怒らないなら、それでいいです」という感じで、そのまま……もし、怒ってたらどうしよう(笑)。

一応、他にもいくつか案は出しました。初稿時の仮題は『星が溶けて朝焼けになるころ』。センチメンタルすぎるので、いずれにしても仮題のままにするつもりはありませんでした。

高橋:新人で、初の書き下ろしで、ということで、読者の目を引くタイトルにしたい、という気持ちがありました。初稿を読んだ際に僕もいろいろ考えたのですが、作中で藤田というキャラクターが引用するカート・コバーンの言葉の力が凄くて。ずっと引っかかっていて。ならば、これをタイトルにしたらどうか、と。結果、僕の担当作の中で、最も長いタイトルになりました(笑)。

ー葵さんにオリジナルで書き下ろし小説のお声かけしようと思ったきっかけはなんですか?
高橋:葵さんには、太宰治「人間失格」を原案にしたアニメ映画「HUMAN LOST」のノベライズを担当してもらったのが最初の仕事でした。太宰をアニメかつSFで表現する、という挑戦的な作品で、しかもそれを「ノベライズする」というさらにハードルの高い仕事だったんですが、このクオリティが素晴らしくて。特に、キャラクターのモノローグ描写が抜群でした。これだけの筆力の方には「オリジナルの書き下ろし小説を依頼したい」と思ったのがきっかけです。

ーオリジナル小説の書籍化は初とのことですが、どんな気持ちですか?
葵:とても幸せです。書籍化されることそのものよりも、そこにいたる工程が楽しくて刺激的でした。初稿よりも良いものに仕上げさせてくれた担当さんの的確な助言や、キャラクターたちにたしかな輪郭を与えてくれたイラストレーターのいつかさんのデザイン、粗い原稿に丁寧な鉛筆を入れてくれた校閲さんの指摘など、今まで知らなかったいくつもの楽しい作業がありました。ひとりでは決して味わえない喜びでした。

ー今回、イラストをいつかさんにご依頼しようと思ったきっかけはなんでしょうか?
高橋:タイトルの方向性が決まって、それがとても挑戦的な題名なので、装画は逆に、柔らかくて、優しい空気感を描ける方にお願いしたい、と思いました。両者にギャプがあって、でも本質的に繋がっている、というカバーになってほしいな、という気持ちで。

すごく魅力的なキービジュアルですが、いつかさんとはどのようなお話をされたのでしょうか?
高橋:御堂楓をお願いします、と最初にお伝えしました。砂羽単独、あるいは、二人も考えたのですが、「病気」「恋人の死」という題材に対して、読み終わったときに「未来」を感じられる方向にしたくて。いつかさんはラフを3案用意してくださって、これがどれも魅力的で、嬉しい悲鳴でした(笑)。

ーイラストを初めてみた時の感想を教えていただきたいです!
葵:ようやく会えたな、という感じです。あとは「こんな顔してたんだ!」と思いました。ぼんやりとしたイメージはありましたが、くっくりと目鼻立ちを想定して書いていたわけではなかったので。それにしても、かわいいなあと思います。ほんわかしてて、あったかいイラストで、光栄です。ゲラに手を入れる際には、もらったカバーイラストを思い出しながらやりました。顔を知ってから読むと、端々に直したいところが出てきたので。

ー出来上がってみて、高橋さんにとってどのような作品になりましたか。
高橋:そうですね......。今年の僕の「勝負作」です!本当に勝負作なので、LINEノベルでの無料公開に踏み切りました。とにかく、読んでもらいたいです。作品に触れて、読み進めて、そうしたらきっと、この小説の魅力が伝わると思うんです。


「暗い気持ちになった時には、この作品を読んでみて欲しい。」

ーどんな方に届けたいですか?
葵:どんなひとにも、暗い気持ちになってしまう日はあると思います。明日が来るのが憂鬱だな、と思ってしまう夜。そういうとき、この小説が役に立つことを期待しています。ばかなことをしているばかなやつらがいる、ということが、救いになることもあるだろうと。

ーでは、最後にお二人から読者の方へのメッセージをお願いします。
高橋:原稿を依頼した際は、世の中がこんな状況になるとは、夢にも思っていませんでした。この小説は「死」という非日常に直面した主人公が、仲間の力で、ばかばかしくて楽しくて、でもありきたりな「日常」に戻ってくる小説です。そういう意味では「非日常」が当たり前になってしまった今の世界でこそ、読まれてほしいですし、読むと元気が出ると思います。にやにやできます。どんな状況でも「また笑えるんだな」「楽しいな」と思える作品なので、ぜひ手に取っていただきたいです。

葵:
最初の一行から最後の一行まで楽しさを目指して書きました。作中、やりきれないことも起こりますが、それでもトータルでは、たぶん、楽しい小説になっていると思います。読者のみなさんに、この楽しさがわずかでも伝われば幸せです。


作品情報

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彼女は死んだ。
そして僕らは、出会った。

ねーねーねー。高校三年生の朝は、意外な声に遮られた。狸寝入りを決め込む僕に話しかけてきた同級生、白波瀬巳緒。そして、隣の席の、綺麗な声が耳に残る少女、御堂楓。留年し、居場所がないと思った学校のはずなのに、気づけば僕の周りに輪ができていく。胸はまだ、痛む。あの笑顔を思い出す。でも、彼女の歌声が響く。ほんのり温かいユーモアと切なさが心を打つ、最旬青春小説。

『処女のまま死ぬやつなんていない、みんな世の中にやられちまうからな』
著者:葵遼太 イラスト:いつか
LINEノベル作品:https://novel.line.me/r/label/novel/19330
(刊行:新潮社)


キャンペーン詳細

作品の公開を記念して、いつかさんがイラストを描き、葵さんいつかさんのお二人にサインをしていただいた色紙を【抽選で1名様】にプレゼントするキャンペーンを実施します!

【キャンペーン期間】
2020年4月27日(月)~5月17日(日)23:59まで

【応募方法】
STEP.1
LINEノベル公式Twitter(@novel_LINE_jp)をフォローする
(既にフォローしている方はSTEP.2へ)

STEP.2
上記アカウントより投稿された該当キャンペーンツイートをリツイート(RT)する
※キャンペーンツイート以外の投稿に対するRTはキャンペーン対象外です。


【賞品】
葵さんサイン+いつかさんサイン&イラスト入り色紙


【当選連絡方法】
当選者の方には、キャンペーン期間終了後にLINEノベル公式Twitter(@novel_LINE_jp)からTwitter DMにてご連絡いたします。
※Twitterやメールなどでの個別の当選確認はできかねますので、あらかじめご了承ください。 


キャンペーン応募規約


『処女のまま死ぬやつなんていない、みんな世の中にやられちまうからな』色紙プレゼントキャンペーン(以下、「当キャンペーン」とします)は、以下の規約についてご同意上、ご応募ください。
1.LINE株式会社(以下、「弊社」とします)が企画する当キャンペーンにご応募されるためには、以下の条件を含む、弊社所定の条件を満たす必要があります。
 (1)LINEノベル公式Twitterアカウント(@novel_LINE_jp)をフォローしていること。
 (2)対象となるキャンペーンツイートをリツイート(RT)していること。
 (3)非公開アカウントではないこと。
LINEノベル公式Twitterアカウント(@novel_LINE_jp)のフォロー解除、またはツイートの削除をされた場合や、フォロー・RTをせずにキャンペーンツイートにリプライをした場合も、当選対象にはなりません。
2.応募者が15歳未満の場合は、親権者その他の法定代理人の同意の上ご応募ください。同意のない場合は、当選が無効・取消となる場合があります。
3.当キャンペーンにご応募することができるのは、日本国内在住の方に限ります。
4.応募者は、当キャンペーンに応募した後、応募の取り消しをすることができません。
5.抽選方法や当選についてのお問い合わせは受け付けておりません。
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7.当選の権利を第三者に譲渡または監禁・変更することはできません。
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10.当選者様には別途DM(ダイレクトメッセージ)で試写会招待状をお送りいたします。必ずLINEノベル公式Twitterアカウント(@novel_LINE_jp)のフォローをお願いいたします。
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ぜひこの機会に、一足早く『処女のまま死ぬやつなんていない、みんな世の中にやられちまうからな』を読んでみてください!