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LINEノベル presents「あたらしい出版のカタチ」の活動の一環として、2019年4月24日に六本木の文喫にて、イベントを開催しました。

この日のテーマは「ミリオンセラーの作り方」。
ノベルLINE統括編集長の三木一馬さん、新潮文庫nex編集長の高橋裕介さん、そしてLINEノベル事業プロデューサーの森啓が登壇しました。

本記事はそちらのイベントの事後レポートとなっています。

【過去記事はこちら】

まず、編集を担当した作品の発行累計が6000万部を突破している三木さんがこれまでの経験を語るパートから始まりました。

今回、ミリオンセラーになった『魔法科高校の劣等生』
俺の妹がこんなに可愛いわけがないの2作品を例としてあげながら、これまでどのようにミリオンセラーを生み出してきたかをご説明いただきました。前回の記事はこちらです。

読者のニーズがヒットを作る。900万部越えのWEB発小説

三木:次は『魔法科高校の劣等生』についてです。この作品は、元々WEB小説なんです。つまり、編集と作家と2人で「どうしよう?」と考えたわけではなく、作家さんがWEBで自由に書いたものでした。それを書籍として商業化させていただきました。



魔法科高校の劣等生(1) 入学編〈上〉 (電撃文庫)
佐島 勤
KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
2016-07-23


WEB小説を商業にする時に、皆さんはご存知かもしれないですが、WEBでの人気がそのまま売れることに直結するんだったら、誰も苦労しないんです。だったら、ランキング一位のものを採用すればいいだけなんです。

でも、意外とそうではなくて。例えば『君の膵臓をたべたい』は、ランキングではそこまで上位ではありませんでしたが、すごく売れてますよね。このように、
勝負する時には工夫が必要で。ニーズがあるところに放り込んであげるというのが大事なんです。

魔法科高校の劣等生』という作品を電撃文庫で出そうとなったとき、もともとの作品は少し上の世代向けで、ハードボイルド感があるイメージでした。それをすこし変えたかったのです。達観しててぶれずに目標へと邁進する主人公への共感が少し難しいところがあったと思っていて、それをどうやって読者と近づけるか考えました。

それで僕は、『コードギアス』なんじゃないかと思ったんです。ルルーシュ
※)は人気あるじゃないか(笑)。
2006年に放送されたアニメコードギアス 反逆のルルーシュ』。

なので、まずイラストからそれを表現しようと思いました。『コードギアス 反逆のルルーシュ』のアニメに携わっておられた石田可奈さんにイラストをお願いしました。
魔法科1500

作品を見つけた時には「取り組み」×「熱意」を伝える

三木:佐島さんにご連絡を差し上げた時、当時から人気だったので電撃文庫で出してもらうために、色々準備をしたわけです。だって、他にもあらゆるレーベルありますから。

うちでやってもらうためには、
印税でもプロモーションでもなんでもいいんですが、どういう風に取り組むか?」「熱意」を伝えないといけなくて。

その時にこういうイラストのイメージです、っていうのがあるとラノベはわかりやすいですよね。で、しかも「実はこういうイメージで描いて貰うつもりです。」と言えればとても良くて。

「僕のイメージはルルーシュです。なんでかというと、年上向けではなくて子供たちに売りたいんだ。」と伝えました。加えて、「コードギアスは子供たちにも人気でかっこいいです。それを再現できそうな方としては石田可奈さんという方が良いと思っております!ぜひ一緒にやらせてください!」という話をしました。

そしたらおかげさまで大成功しました。

というわけで、みなさんももしミリオンセラーを出したかったらアニメの総作監さんに依頼するとすごく簡単に作れます
(笑)。

会場:(笑)

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※こちらの記事は連載形式です。続きは5/14(火)に掲載予定です。
大変申し訳ございませんがレポートの続編は、
諸般の事情により日にちをずらしての掲載とさせていただきます。
後日アップ予定となっております。何卒よろしくお願いいたします。


■登壇者プロフィール

三木一馬(小説編集者・ストレートエッジ代表)
1977年生まれ。2000年、メディアワークス(現KADOKAWA)に入社。翌年、電撃文庫編集部に配属される。同編集部編集長を経て2016年、独立。作家のエージェントを担う株式会社ストレートエッジを立ち上げる。
担当作:川原礫『ソードアート・オンライン』、鎌池和馬『とある魔術の禁書目録』 など
Twitter:@km_straightedge


高橋裕介(小説編集者・新潮文庫nex編集長)
1985年生まれ。2008年、新潮社に入社。週刊新潮編集部を経て、2012年に新潮文庫編集部へ異動。2014年、「新潮文庫nex」を立ち上げる。2016年3月より新潮文庫nex編集長(文庫編集部兼務)。
担当作:伊坂幸太郎『ジャイロスコープ』、知念実希人『天久鷹央の推理カルテ』 など
Twitter:@TkhShy

森啓(事業プロデューサー・LINE執行役員)
1975年生まれ。2005年ライブドア入社。ポータルサイト、CGMコンテンツなど様々な事業に携わる。同社のNHN JAPANへの経営統合後、LINEのサービス企画を担当後、現職。チケット・ノベルのエンターテイメント事業を担当。