
LINEノベル presents「あたらしい出版のカタチ」の活動の一環として、2019年4月24日に六本木の文喫にて、を開催しました。
この日のテーマは「ミリオンセラーの作り方」。ノベルLINE統括編集長の三木一馬さん、新潮文庫nex編集長の高橋裕介さん、そしてLINEノベル事業プロデューサーの森啓が登壇しました。
本記事はそちらのイベントの事後レポートとなっています。
【過去記事はこちら】
イベントレポvol.1 ▶︎ニーズを見極め勝機を掴む「WEB発小説、ヒットまでの道のり」
イベントレポvol.2 ▶︎ イベントレポvol.3 ▶︎売り場目線で狙った読者に届ける「作品ブランディング」
LINEノベル事業プロデューサーである森が、なぜ今、LINEノベルに挑戦するのか?について語りました。前回の記事はこちらです。
LINEノベルを始める理由とは?
森:なぜLINEノベルをスタートするのかをお話します。今、通信環境が発達してきて、コンテンツがリッチになってるきているんですね。

当日のスライド
通信環境の整備によって取り扱えるデータの容量が大きくなり、リッチなコンテンツがユーザーに求められてる時代になってきてます。
ただし、コンテンツがどんどんリッチになっててもそこで必要となる原作はより一層求められる時代になるだろうと考えています。Netflixやamazonなどの企業がオリジナルドラマやアニメーションを作ったりしていますが、オリジナルの作品は物語が必要になってくるので、物語のニーズが今後より増えてくるだろうと考えています。
また、小説の変遷をたどると、ライトノベルなどが盛り上がって出てきたり、フューチャーフォンの時代にケータイ小説っていうのが生まれて、10代の女の子がミリオンセラーを出すような時代がありました。現在、スマートフォンでそういった世界があるのか?と考えた時に、まだないんじゃないかと我々は考えていまして、ここにチャレンジしたいというところで、LINEノベルを始めるに至りました。
森:我々プラットフォームとしてチャレンジしていくことは三つあります。

一つ目は、読者の皆さんに読んでいただけるコンテンツを準備することです。まず、読者を集めないと何も始まらないと思ってます。LINEノベルで提供するのは出版社からのコンテンツもあれば投稿のコンテンツもあります。今、既刊作品と投稿作品が読めて、出版社横断になっているサービス、というのがないんです。我々は、それをやってみたいというところでコンテンツは揃えてご提供していきます。
また、小説の変遷をたどると、ライトノベルなどが盛り上がって出てきたり、フューチャーフォンの時代にケータイ小説っていうのが生まれて、10代の女の子がミリオンセラーを出すような時代がありました。現在、スマートフォンでそういった世界があるのか?と考えた時に、まだないんじゃないかと我々は考えていまして、ここにチャレンジしたいというところで、LINEノベルを始めるに至りました。
プラットフォームとしてチャレンジする3つのこと
森:我々プラットフォームとしてチャレンジしていくことは三つあります。

当日のスライド
一つ目は、読者の皆さんに読んでいただけるコンテンツを準備することです。まず、読者を集めないと何も始まらないと思ってます。LINEノベルで提供するのは出版社からのコンテンツもあれば投稿のコンテンツもあります。今、既刊作品と投稿作品が読めて、出版社横断になっているサービス、というのがないんです。我々は、それをやってみたいというところでコンテンツは揃えてご提供していきます。
二つ目は「フォーマットを最適化してユーザーにどう伝えるのか。」という部分です。今回LINEノベルが挑戦するのは「読めば読むほど無料になる。」という仕組みです。読書時間が溜まるとチケットがもらえて、次の話が読める仕組みです。SNSやゲーム、マンガといったスマホの世界で小説を読む習慣を作るために、まずは無料で小説が読めるという状況を作り、小説の面白さを体験してもらいます。
三つ目は、投稿作品から新しい才能を発掘するという部分です。
才能を発掘するために2つ仕掛けをさせていただきました。日本テレビさん、アニプレックスさんと我々で、『令和小説大賞』という賞を開きます。大賞作品は書籍化のほか、映像化していきます。
才能を発掘するために2つ仕掛けをさせていただきました。日本テレビさん、アニプレックスさんと我々で、『令和小説大賞』という賞を開きます。大賞作品は書籍化のほか、映像化していきます。

もう一つは、三木さんの提案から始まったのですが「あたらしい出版のカタチ」です。我々を含めて10社の出版社さんにご賛同いただいています。従来のように投稿作品に書籍化のオファーを出せる仕組みなのですが、オファーをかけたらドラフト制度のようにみなさんにその情報が届くんですね。
で、「うちもそこに提案したい。」と思った出版社さんがいた時には、条件や宣伝プランなどの提案をまとめて作家さんにオファーをかけます。オファーをいただいた作家さんが、自分でどこにいきたいというのを決めていただいけるような仕組みです。
なんでこういうことをしてるかというと、新しくて優秀な才能が生まれてきてますが、今までは早い者勝ちで作家さんのほうで出版社横並びでパートナーを選ぶことができない状態でした。作家さんにとっては大事なパートナー選びですので、より作家さんのためになるようなプラットフォームにしていきたいと考えています。
で、「うちもそこに提案したい。」と思った出版社さんがいた時には、条件や宣伝プランなどの提案をまとめて作家さんにオファーをかけます。オファーをいただいた作家さんが、自分でどこにいきたいというのを決めていただいけるような仕組みです。
なんでこういうことをしてるかというと、新しくて優秀な才能が生まれてきてますが、今までは早い者勝ちで作家さんのほうで出版社横並びでパートナーを選ぶことができない状態でした。作家さんにとっては大事なパートナー選びですので、より作家さんのためになるようなプラットフォームにしていきたいと考えています。
コンテンツを作る時、最後に勝負になるのは根性
三木:最後にミリオンセラーの話につながるので、少しだけ僕からもお話させてください。
森さんがLINEノベルのコンセプトやサービスを立ち上げる理由についてお話をされていましたけれど、僕はLINEノベルに拾っていただいたんです(笑)。
実は、真面目にそれくらい感じていて、僕はこのサービスに賭けたんです。そのようなスタンスで臨んだのは理由があります。
僕は今から3年くらい前に独立しました。小説や編集業というところでいうと、他にもお声かけはあったんですが、LINEの森さんの事業が面白そうだなと思ったんです。
プロジェクトを考える時に、僕は基本的にアニメもゲームもそうなんですけど、メーカーじゃなくて人で決めます。プロデューサーで決めるんです。なぜかというと、いざコンテンツを作る時、最後に勝負になるのは、その人が根性あるかどうかなんですよ。日本のコンテンツは、みんなの善意でなりたってるんです(笑)。
森さんがLINEノベルのコンセプトやサービスを立ち上げる理由についてお話をされていましたけれど、僕はLINEノベルに拾っていただいたんです(笑)。
実は、真面目にそれくらい感じていて、僕はこのサービスに賭けたんです。そのようなスタンスで臨んだのは理由があります。
僕は今から3年くらい前に独立しました。小説や編集業というところでいうと、他にもお声かけはあったんですが、LINEの森さんの事業が面白そうだなと思ったんです。
プロジェクトを考える時に、僕は基本的にアニメもゲームもそうなんですけど、メーカーじゃなくて人で決めます。プロデューサーで決めるんです。なぜかというと、いざコンテンツを作る時、最後に勝負になるのは、その人が根性あるかどうかなんですよ。日本のコンテンツは、みんなの善意でなりたってるんです(笑)。
一同:(笑)
三木:冗談抜きで、そうなっています。実情でお伝えすると「その人がどんなにアニメが好きで、誰にも言われてないのに徹夜するか。」などの熱量で作られているところがあるんです。悪しき慣習ですが、実際にそれはあるのです。
徹夜はさておき、プロジェクトってそういうマインドが大事だと思っています。僕がアニメとかゲームに関わる時に一緒にチームになる決め手は「プロデューサーの方と僕のマインドが合うか?」というところです。
森さんの考えが良いなと思ったのは「いや、それは会社にとっては良いかもしれないけど、ユーザーにとっては良くない。」ってすぐ言うんですよ。
例えば、さっきのあたらしい出版のカタチとかに関しては、僕が考えた夢なんですよ。僕は失うものがないから、好きな事言えるじゃないですか。「出版連合つくろう!」とか「大手も巻き込んでやりましょう!」とか(笑)。
徹夜はさておき、プロジェクトってそういうマインドが大事だと思っています。僕がアニメとかゲームに関わる時に一緒にチームになる決め手は「プロデューサーの方と僕のマインドが合うか?」というところです。
森さんの考えが良いなと思ったのは「いや、それは会社にとっては良いかもしれないけど、ユーザーにとっては良くない。」ってすぐ言うんですよ。
例えば、さっきのあたらしい出版のカタチとかに関しては、僕が考えた夢なんですよ。僕は失うものがないから、好きな事言えるじゃないですか。「出版連合つくろう!」とか「大手も巻き込んでやりましょう!」とか(笑)。

三木:例えば、LINE文庫作ったら、LINE文庫のみで展開すればいいんですよ。自分たちの事業ですから。エンジニアのお金もめちゃくちゃ高いので、収益作れないとずっとランニングコストがかかるだけです。ところが、「全ての出版社に解放しますよ、と。そうじゃないとユーザー的にはよくないですよね。」とか軽く返ってくるんですよ。「あ、やっぱこの人すごい。天才か......バカか(どちらなんだろう......)?」すごいな、って思った(笑)。
森:いや、だって皆さん(会場に来ている作家のみなさまに向けて)、本はLINEより新潮社さんで出したいですよね?(笑)
一同:(笑)
三木:あと最近になって気づいたんですが、森さんは常に「三木さん、そこに"WOW"はあるんですか?」って。コンセプトとか事業を考えるときにこれ、すごいって自分たちで思えないとやったらだめですよね、とかってすぐ言うんですよ。そういうところがユーザーファーストだなあと思っていて。
だから、多分この連合も「WOW」って思えるからやったと思うんです。自分たちの目先の利益は削ってると思うんですね。将来的にはさっきの"WOW"があって、「これをやらないと今後のミリオンセラーというのは出来ていかない。」と僕は思ってるし、大事なんだろうなと思ってます。
森:一応補足しますと、WOWっていうのは会社の行動指針です。スマホが登場し始めた2011年から2012年辺りに、LINEを始めた時もそうでした。電話番号を登録すると友達が最初からつながってるみたいなところがあったと思うんですね。それで、人に伝えたくなるような驚きを持ったサービスを作ろうと言うのを我々は会社で言っています。LINEノベルにおいても、皆さんが驚くような作品があったり、無料で読めたり、素晴らしい出版社のパートナーがいたりと、"WOW"を追求していきたいと思ってます。
4/24のイベントレポートは、本記事をもって終了となります。
ご来場いただいた皆様ありがとうございました。
■登壇者プロフィール
三木一馬(小説編集者・ストレートエッジ代表)
1977年生まれ。2000年、メディアワークス(現KADOKAWA)に入社。翌年、電撃文庫編集部に配属される。同編集部編集長を経て2016年、独立。作家のエージェントを担う株式会社ストレートエッジを立ち上げる。
担当作:川原礫『ソードアート・オンライン』、鎌池和馬『とある魔術の禁書目録』 など
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高橋裕介(小説編集者・新潮文庫nex編集長)
1985年生まれ。2008年、新潮社に入社。週刊新潮編集部を経て、2012年に新潮文庫編集部へ異動。2014年、「新潮文庫nex」を立ち上げる。2016年3月より新潮文庫nex編集長(文庫編集部兼務)。
担当作:伊坂幸太郎『ジャイロスコープ』、知念実希人『天久鷹央の推理カルテ』 など
Twitter:
森啓(事業プロデューサー・LINE執行役員)
1975年生まれ。2005年ライブドア入社。ポータルサイト、CGMコンテンツなど様々な事業に携わる。同社のNHN JAPANへの経営統合後、LINEのサービス企画を担当後、現職。チケット・ノベルのエンターテイメント事業を担当。