takayama


LINEノベルのサービス開始と同時に募集が始まった『令和小説大賞』アンバサダーとして高山一実さんに就任いただいたことを記念して、インタビューを実施。乃木坂46に所属アイドルとして活動しながら、2018年11月に『トラペジウム』を執筆された高山一実さんが「どのように執筆と向き合い、物語を創作しているのか」を伺いました。

「伝えたい軸」+「キャラクター」を決めて、ストーリーを作る

――作品のキャラクターはどのように生み出しましたか?

高山:元々アイドルが好きだったので、「こういうアイドルグループがいたら強いよね。」と考えていたことをキャラクターにしました。例えば、高専の女の子はただでさえモテると思っていたので、それに加えて紅一点かつ超可愛いと最強の子だなあとか。 
あとは、自分自身、前髪を全開にして縦ロールみたいなお蝶夫人のようなお嬢様が昔から憧れなので、そういった女の子を登場させたりしました。
元々、私は田舎出身で各学校の可愛い子とかって噂で知ってたりしたんです。なので、そういう子達を集められたら面白そうだなと思いました。
ただ、設定はすぐに浮かんだんですけどその子達がどうなっていくのか?というのは筆を走らせてから、段々と出来ていった感じです。

――まずキャラクターを作ってから物語が展開していったんですね。

高山:そうですね。ある程度設定を決めたら、登場人物が勝手に動き始めたんです。

――物語の中でリアリティのある場面がたくさんありました。場面設定はどうやって考えていきましたか?

高山:元々、これは絶対に伝えたいという軸がありました。それをどう交えてストーリーを展開していくか?というのを常に頭の中で考えていたんです。
最初は結末が決まってなくて、とにかくキャラクターを動かしつつ自分の伝えたいメッセージを含めさせていくっという進め方でした。
ただ、途中で最終的にこうしたいという物語のラスト部分が決まったんです。なので途中からは、メッセージを伝えつつ終わりまで持っていくために、常にパズルのピースをはめてくような感じで、迷いながら「どう組み立てようかな?」と設定を考えていきました。

takayama9

物語を通して、自分の中の疑問と向き合った。


――その
物語のラスト部分はどのように閃いたのでしょうか。


高山:はい。『トラペジウム』というタイトルでなかったら、閃いてなかったと思うんですね。

アイドルの話というのは決めてました。すんなりアイドルになってハッピーエンドという話にはしたくないというのはあったんですが、それ以外は特に決めていなかったです。
正直、連載の時はタイトルを仮でつけてたんですね。ですが、仮でつけたタイトルのおかげでエンディングが浮かんだので、タイトルが『トラペジウム』で良かったなと思っています。

――物語を書き終えて、言葉にすることで変わった部分はありましたか?高山:

高山:はい、ありました。書き始める前は疑問に思う部分がたくさんあったんです。

「アイドルになるには何が必要か?」「何が備わっていたらアイドルとして成功できるのか?」「可愛い子達は、どうしてアイドルにならないのか?」「アイドルになった子とアイドルになってない子はどっちが幸せなのか?」など色々な疑問がありました。

この一冊を書く事で解消できた気がします。自分の中で整理が出来ました。

――疑問はどのように見つけていますか?

高山:私の中では特別なことじゃなくて「みんな思ってることなんじゃないか?」と思っていた疑問があって、敢えて口にしなかったことがたくさんあるんです。
例えば、エスカレーターのシーンでショッピングモールとか電気屋さんにいくと鏡ばりになっていて「みんな毎回鏡チェックするな。」とか、そういうのはみんな思ってる事だと思ってたんです。でも、書いてみると独特の発想で面白かったです、という意見がきてたのを知って「あ、独特なんだ。」と気づきました。自分で書いてみて個性がわかりましたね。

takayama7


これから作品を書こうとしている人に一言


――最後に作品を書こうとしている人に一言お願いします。高山:

高山:一冊書き終えた中でも私は自分が文章書くのが得意だとも思ってないですし、平凡な過程で生まれたただの25歳の女の子だと思ってるんです。ただ、昔から私はオタク気質で好きなものがあったらそれについて考えるのが好きで。
文章の能力や組み立て方など、何か足りてなかったとしてもそれを補う熱量があれば、人に伝わるんじゃないかなというのは身をもって感じました。
例えば、毎日すごい嫌なことがあって負のエネルギーでも、すごく幸せで何か分からないけど思いを文章にしたいっていう陽のエネルギーでも、どんなエネルギーでも良いんです。
それを文章にするというのは、自分の中でハードルが高いこととして捉えがちだと思うんですけど、そのハードルを一度なくしてみて、チャレンジしてみたら良いんじゃないかな?と思います。

あとは、自分の書き終えた文章を人に見せた時の感情をぜひみなさんに体感してほしいです。色んな感情が出てくるんです。フィクションを書き終えて誰かに見せた時の感情を味わって欲しいなあ、と思います。

みなさん、応援しています!

takayama8


高山一実(乃木坂46)
1994年2月8日生まれ、千葉県南房総市出身。2011年8月、乃木坂46第1期メンバーオーディションに合格。2016年4月より雑誌『ダ・ヴィンチ』にて小説『トラペジウム』の連載を開始。同年9月、ファースト写真集『高山一実写真集 恋かもしれない』を刊行。2018年11月、単行本『トラペジウム』を刊行。2019年2月には写真集『独白』を刊行、5月発売の乃木坂46のニューシングルではフロントメンバーを務める。

LINE×アニプレックス×日本テレビ3社連携によるオールジャンルの小説コンテストを開催。
大賞作品は、賞金300万円+書籍化+映像化!応募受付は2019年9月30日まで。