
LINEノベルオリジナル作家のみなさんへインタビューする本企画。
今回はライト文芸レーベル"LINE文庫"から10月に刊行される『すべては装丁内』を執筆された木緒なちさんへお話を伺いました。
実体験で得たものが、小説にリアルな空気を吹き込む
――今回の作品『すべては装丁内』のコンセプトはどのように決りましたか?
私は、作家とグラフィックデザイナーという二つの仕事を生業にしていますが、いつかそのダブルワークを活かせる作品を書いてみたいと考えていたんです。
――ありがとうございます。それでは、登場人物のキャラクター設定についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
今回、LINEノベルさんからお話をいただいたときに、新しい挑戦という意味でぜひこの願望を叶えたいと思い、形にいたしました。
――ありがとうございます。それでは、登場人物のキャラクター設定についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
主人公・甲府可能子の設定に関しては、最初こそ人との巡り合わせにあまり恵まれないけれど、徐々に温かい人たちと出会って成長していく、という構想を練っていたので“素直で頑張り屋かつ芯の強い頑固な子”として描きました。
反対に烏口曲は、根はいい人なのに過去に色々あった結果、ひねくれた物言いになってしまうタイプ。可能子と交流を重ねるうちにだんだん心を開いていく様子を描いています。
――可能子と周囲の人々の交流や関係性の変化も読みどころのひとつですよね。木緒さんにとって特に思い入れのある登場人物は誰でしょうか?
やはり烏口でしょうか。タイプ的には全く違いますが同業ということもあって、仕事に対する細かいこだわりや信念が自分と重なるというか……似通っている部分はあると思います。
あんなにイケメンだったら人生楽しいだろうな~とは思いますけどね(笑)。

――今回は、ご自身の職業をモデルに書かれていると思うのですが、小説を書く際に舞台となる場所やモチーフとなる職業等へ取材を行うことはあるのでしょうか?
もちろんあります。本作で舞台となった街や会社については、これまでの勤務先や、旅行先で実際に見たり触れたりした部分をヒントに書いています。
想像だけで書くことはあまりないですが、どうしても時間が取れないときは、実際に現地に行った人や、体験した人の話を聞くようにしていますね。実体験で感じ取った空気や時間の流れというのは、資料だけではどうしても活かしきれないですから。
――木緒さんが思う、本作の一番の読みどころを教えてください!
これまであまり取り上げられることのなかったグラフィックデザイン・ブックデザインの世界、そして出版業界等、本を取り巻く世界について、実際に起こりうるエピソードを交えながら描いています。
――木緒さんは小説を書き始めてどのくらいになるのでしょうか?
この業界に興味がある方、好きな方にぜひぜひ読んでいただきたいですし、そうでない方にも興味を持ってもらえるような一冊になれば幸いです。
「あんな作品を一度でもいいから書きたい」木緒なちが憧れる作品
――木緒さんは小説を書き始めてどのくらいになるのでしょうか?
最初にライトノベルの執筆が始まったのが8年前くらいですから、きちんと物語を始めたのは案外最近のことなんですよ。
――影影響を受けた作家さんや小説を教えてください。
山本周五郎先生や遠藤周作先生の作品を好んで読んでいました。文体は柔らかくて優しいのに、描いている世界は厳しい、という世界観に惹かれましたね。特に山本先生の『樅ノ木は残った』や、遠藤先生の『海と毒薬』は、とても好きな作品です。
――それほどまでに人の心に強く残る作品を書く作家さんは、偉大な職業だと思います。では、これまでの執筆活動で苦労したこと、嬉しかったことはなんでしょうか?
毎回苦労の連続ですね……。楽にできたことは一度もありません。なので常にしんどいのですが、惰性でやるようになってしまったら、それはもう廃業が近いということだと思うので苦しくていいです。
――ダブルワークということで、大変お忙しいかと思います。普段はどのような時間帯やシチュエーションで作品を書かれているのでしょうか。
それまではゲームシナリオをメインで書いていましたが、こちらもシナリオという形で書き始めたのは15年くらい前なので、キャリアとしてはそこまでベテランではないんです。
――影影響を受けた作家さんや小説を教えてください。
山本周五郎先生や遠藤周作先生の作品を好んで読んでいました。文体は柔らかくて優しいのに、描いている世界は厳しい、という世界観に惹かれましたね。特に山本先生の『樅ノ木は残った』や、遠藤先生の『海と毒薬』は、とても好きな作品です。
ライトノベルだと、秋山瑞人先生の『イリヤの空、UFOの夏』は今でも強く印象に残っています。毎年6月24日になると、同好の士である皆さんとSNSで「おっくれってるぅーー!」と叫ぶのが好きなんです。あんな作品を生涯で一度でも書いてみたいなぁ。
――それほどまでに人の心に強く残る作品を書く作家さんは、偉大な職業だと思います。では、これまでの執筆活動で苦労したこと、嬉しかったことはなんでしょうか?
毎回苦労の連続ですね……。楽にできたことは一度もありません。なので常にしんどいのですが、惰性でやるようになってしまったら、それはもう廃業が近いということだと思うので苦しくていいです。
嬉しいのは、やはり読者の方から感想をいただいたときです。
作品に対する率直な感想は作家の成長のために必要なのかもしれませんが、私はすぐ落ち込んでしまうのでマイナスな評価はあまり見ないようにしています……。
――ダブルワークということで、大変お忙しいかと思います。普段はどのような時間帯やシチュエーションで作品を書かれているのでしょうか。
昔はファミレスや喫茶店で仕事をしようと試みたこともあるのですが、普通に食事をしたり、寝てしまったりで結局仕事にならないので、自宅で執筆しています。
――作品を書いていて筆が進まないことはありますか?
たくさんあります。ネットもスマホも全部遮断した状態で覚悟を決めて集中しますが、それでも進まないときは進まないですね。
――作品を書き続けていくための心構えを教えてください。
新しい物を色眼鏡で見ないことと、積極的に触れていくことでしょうか。
――これからチャレンジしていきたいことはありますか?
時間帯については圧倒的に深夜の方が進みますね。22時くらいから朝方まで頑張っています。そうだ、1時間ごとに進捗を書いていくといいですよ。いかに書けていないかが目視できて、本当に絶望するので。
――作品を書いていて筆が進まないことはありますか?
たくさんあります。ネットもスマホも全部遮断した状態で覚悟を決めて集中しますが、それでも進まないときは進まないですね。
わたしはやりたいことが多いタイプの人間なので、ガッツリ長編小説を書くというのは、正直あまり向いていないのかもしれません。それでもそれを生業とし、評価を受ける立場にあるわけですから。人生に於いて仕事というのは案外、皮肉なことばかりのような気がします。
――作品を書き続けていくための心構えを教えてください。
新しい物を色眼鏡で見ないことと、積極的に触れていくことでしょうか。
刺激を受けなければアウトプットはできないと思います。小説に限らず、映画・マンガ・アニメ・ゲーム・演劇・動画、ネット配信……何においてもストーリーやキャラクター作りに関するヒントはあると思っているので、特別に何かひとつということではなく、全部に触れていく必要があると思いますよ。なんでも全部、です。
「たとえ凡退でも、維持を見せられるような打席にしたい」
――これからチャレンジしていきたいことはありますか?
たくさんあります。直近で挑戦してみたいのは動画の配信ですね。それと、大きなプロジェクトの企画・運営もやってみたいです。
私は人に何かを伝えて共有することと、それが成功することに喜びを感じるタイプなので、様々なコンテンツやメディア作りに携わっていきたいです。
あとは、生涯をかけて取り組めるようなスポーツも見つけていきたいと思っています。
――LINEノベルに期待されていることを教えてください!LINEは日本全国の老若男女が使用する、とてつもなく大きなインフラです。その巨大なインフラが、新しい小説の形作りに取り組んでいるのですから、とにかく斬新な創造を期待しています。
――作品を期待されているみなさまにメッセージをお願いします。
――それでは最後に、これから投稿するユーザーのみなさまへアドバイスや応援の言葉をいただけますでしょうか!
私は小説についてはただのファンであり、人生のほとんどの時間をゲームに費やしてきた人間でしたが、それでもきっかけと、それに応じるささやかな努力を積み重ねてきたことで、こうしてプロデビューを果たすことができました。
内容紹介
他の小説サイトとの差をどんどん作っていくべきだと思うので、見ている人たちがビックリするようなアクションを起こしてください!
――作品を期待されているみなさまにメッセージをお願いします。
名だたる作家陣の中での私は、ベンチ裏でタオルを冷やしているような立ち位置だと思っていますが、それでも何かの奇跡が起きて、打席に立つチャンスが巡ってくるかもしれません。
そのときに「木緒なちはよくやったよ」と、たとえ凡退でも維持を見せられるような打席にしたいという思いで、本作をお届けいたします。本気度はかなり高いので、ぜひよろしくお願いします。
――それでは最後に、これから投稿するユーザーのみなさまへアドバイスや応援の言葉をいただけますでしょうか!
私は小説についてはただのファンであり、人生のほとんどの時間をゲームに費やしてきた人間でしたが、それでもきっかけと、それに応じるささやかな努力を積み重ねてきたことで、こうしてプロデビューを果たすことができました。
きっかけもチャンスも、どこに転がっているのか分かりません。ただ、いつも自ら進んで行動し、それを楽しんでいれば、間違いなく巡り合える機会は増えます。
だから、少しでも上を向いて、楽しくいきましょう。そうすれば、何かいいことが降ってくるかもしれません。
書籍情報
内容紹介
「何なの、あのドSデザイナー!」
学央館書房の新人編集者・甲府可能子は憤っていた。
編集長から紹介を受けた装丁デザイナー、烏口曲に企画していた詩集の装丁を即刻で「やらない」と断られたからだ。
曰く、可能子の装丁に対する考えの甘さが原因らしいが……実はこの烏口、理路整然に上から目線で仕事を選ぶ、業界内でも有名なドS&偏屈男だった!
果たして可能子は無事装丁の依頼を引き受けてもらい、本を刊行できるのか?
装丁の奥深い世界、そして今を働くすべての人に勇気をお届けする、お仕事エンターテイメント!
著者について
著者:木緒なち
シナリオライター、小説家及びデザイナー。
ゲームではアニメ化した人気ゲーム『グリザイアの果実』『蒼の彼方のフォーリズム』のメインシナリオを担当。
また、ライトノベルでも『ぼくたちのリメイク(MF文庫J)』がこのラノ2018で総合6位、新作4位になるなど高い評価を得ている。
イラスト:三嶋くろね
イラストレーター。女性。
TVアニメ化された『この素晴らしい世界に祝福を!(著:暁なつめ / 角川スニーカー文庫)』、『ロクでなし魔術講師と禁忌教典(著:羊太郎 / 富士見ファンタジア文庫)』、『ロクでなし魔術講師と追想日誌(著:羊太郎 / 富士見ファンタジア文庫)』など数多くの人気作の挿絵を手掛ける。