マニア・ディザイア タイトル画像

LINEノベルオリジナル作家のみなさんへのインタビュー企画。
今回はライトノベルレーベル"LINE文庫エッジ"から11月に刊行される『アニマ・ディザイア―紅き瞳の少年と灰色の精霊―』を執筆された秋堂カオルさんへお話を伺いました。

アニマ・ディザイア―紅き瞳の少年と灰色の精霊―』あらすじ
《アニマ・ディザイア》――それは人間と精霊が争う統一王座決定戦。
だが世界の覇権を巡る争いは精霊の策略で公平性を失っており、彼らに搾取されるだけの人々に希望はない……筈だった。
「正々堂々と戦って、みんなに認められる王様になりたいんだ!」
無謀な夢を抱く少年ハルは、精霊を食らう異端の精霊エリカと出会って運命を知る――彼らには二人で一つの王の器があるのだと。

奇襲・陰謀・裏切り・絶望……圧倒的逆境を熱き絆で勝ちあがる、最強バディファンタジー譚、開幕!


書きたくてたまらない!?発端は不定期に訪れる“症状”

本作のコンセプトはどのように決まりましたか?

不定期で「男女コンビものバトル」が書きたくなる病にかかっているのですが、その発作が起こった時にちょうどお声がけいただいたので、そういったお話を書くことにしました。
なので打ち合わせはその方向で進みまして、結果として「友情や愛情を超えた二人の絆で勝ち進んでいくバトルもの」となった次第です。

LINEノベルアニマ・ロワイヤル口絵6-7_RGB

――キャラクター設定はどのように練っていかれたのでしょうか。

ダブル主人公という感覚で本作を執筆しました。
今まで私が書いてきた男主人公はツッコミ役が多かったので、今回は配役を逆にして書いてみました。基本的には男主人公がボケ役、女主人公がツッコミ役といった具合です。
そこから全体のバランスを見つつ肉付けをしていきまして、現在の形に落ち着きました。

――なんだか漫才コンビのようですね!二人の掛け合いがとても面白そうです。秋堂さんにとって、特に思い入れの強いキャラクターを教えてください。

白ウサギの体をした精霊のツェドですね。彼は性格的に中身がおっさんで戦う目的もふざけているのですが、その割に頭脳明晰だったりして非常に書きやすいです。バトルでもコメディでも良く動いてくれるので、非常に助かっています。

――そのギャップがなんとも魅力的です。舞台背景についてもお伺いしたいのですが、作品を書かれる際にモチーフとなった場所へロケハンや取材に行かれることはあるのでしょうか?

これは五感で感じた方が早いな、と思った場合はイメージと近い場所を探して赴くことはあります。
泊まってしまうとダラけてしまうので日帰りで予定を組みますが、近くに温泉があったら良いなぁーと毎回思っています。
本作では中世っぽいファンタジーな世界観ですので、取材よりは本読みでした。
実際に本文中で出せるのは読んだ本の一割あれば良い方なんですが、やっぱり下地があるのとないのとでは違うので、なるべく目を通すように心掛けています。

――それでは、本作の読みどころを教えてください。

やはりコンセプトが「男女コンビものバトル」ですので、ぶつかり合いながらも絆を深めて勝ち上がっていく、熱いバトルにあると思います。
ドキドキハラハラしながら読んでいただければ、作者としてこれ以上の喜びはありません。

LINEノベルアニマ・ロワイヤル口絵2-3_RGB


「こう来たか!」イラストレーターがもたらす作品への化学反応

――小説を書き始めたきっかけはなんですか?

初めて小説を書いたのは20歳の時でした。当時は大学生で漫画研究同好会に入っていまして、そこで漫画を描いたりはしていたのですが、批評会があっても同好会メンバーからの反応はほぼ皆無でした。
私自身も頭の中で展開するスピードに手が追い付いてない感覚がありまして、これは単なる技術力の問題なのですが当時は分からず、だったら描写に速度が出せる小説で表現してみようと思って書き始めました。
それで試しにラノベっぽい何かを二章分くらい書いて先輩に読んでもらったんです。そしたら「本当に初めて?上手いね」って褒められて……それが嬉しくて、今も続いている感じです。
 
――人から褒められた経験や記憶は、とても強い原動力になりますよね。影響を受けた作家さんや小説を教えてください。

三田誠先生、長谷敏司先生の作品は好きです。
頭にスッと入ってくる三田先生の文章は私の理想です。まだライトノベルを読む経験値が浅い時期に出会えたのは大きかったと思います。
長谷先生の『円環少女』はキャラクターと物語展開が最高でした。キャラクターを崩す幅が最高(最低)なのに、物語は割と真面目に進行していくので毎回読み終わった瞬間から続巻を楽しみにしていました。最終巻のラストでは号泣してしまい、今でもその時の感動が強く心に残っています。

――作品を書いていて筆が進まなくなることはありますか?そういう時の打開策も教えてください。

筆が進まない時は多々あります。そういう時は1日思いっきりゲームをしながら頭の片隅で原因分析をしたり、家の掃除をしたり散歩したりして考えを切り替えるようにしています。なので行き詰った時ほど家が綺麗になっていますね。
締切が近い時は当然自由な時間もないので、とりあえず納得出来なくても一気に書き上げて、最低限は担当氏に送れるものを作るようにしています。その原稿を元に打ち合わせをして、いただいた意見を参考に修正をがしがし入れていく感じです。

――普段はどのような時間帯やシチュエーションで作品を書かれているのでしょうか?

夜から明け方くらいは一番筆が進む時間帯です。なので原稿がある時は必ず昼夜逆転してしまいます。これは大学生の頃から今日まで変わっていません。

――これまでの執筆活動の中で、苦労したことや嬉しかったことを教えてください。

やはり書いた話がどうにも納得出来ない時は、書き直しに毎回苦労しています。それまでに書いたものを忘れて、一からまた組み直さなければならないので「うー」とか「あー」とか呻きながら頭を抱えています。
逆にキャラクターが勝手に動き出して、当初のプロットよりも面白い流れが出来てくると嬉しいですし楽しいですね。
あと嬉しいことといえば、やはり自分の書いたものにプロのイラストレーター様のイラストが付くことです。イメージ通りの時もあれば「こう来たか!」という化学反応が起きている時もあって、デビュー以来イラストを頂く時は毎回嬉しい瞬間になっています。

――イラストによって作品の雰囲気が一目で伝わってきますし、登場人物たちの姿を明確にイメージして読むことで、より一層作品に浸ることができると思います。それでは、秋堂さんが作品を書き続けていくために心掛けていることを教えていただけますでしょうか。

今でも楽しく書いているので、特に書き続けようと思って心掛けていることはありません。
強いて挙げるなら、30代に入ってから体力の低下と運動不足を感じる時がありまして、例えばサバゲ―の翌日はまったく体が動かない時があったりするので、なるべく外に出て歩くように心掛けています。


「追い詰められた時ほど、それまでの積み重ねが出る」

――これからどんなことにチャレンジしていきたいですか?

自作品を売ることはずっと挑戦し続けていることですが、そのために自分の引き出しをもっと増やしていかなければと思っています。

――LINEノベルに期待されていることを教えてください。

多種多様な作品が発表され続ける場であって欲しいと思います。
それと私のような傭兵は別としても、令和小説大賞でこれからデビューされる作家さんを大切にしようという環境であって欲しいですね。ラノベ市場に限らず、どの分野でも後進育成を怠ると衰退していくと思いますので。
何度かLINEノベル編集部にお邪魔させていただいて感じた空気として、新人作家をないがしろにするのは「ありえない」と思いますが、今後レーベルが大きくなってもその精神は変わらずに持ち続けて欲しいと願っています。

――ありがとうございます。作品を期待されているみなさまに一言メッセージをお願いします。

いつも応援していただき、ありがとうございます。SNS等、感想はとても励みになっております。
『マニア・ディザイア』も期待に応えられるよう、今後も熱いバトルで盛り上げていきたいと思っておりますので、楽しんでいただければ幸いです。

――最後に、これから投稿するユーザーのみなさまにアドバイスや応援の言葉をいただけますでしょうか。

好きなものを書くことが、作者の熱量がその分入るので良いと思います。
もちろんただ闇雲に書くのではなく、「好きなものを一番面白く見せられるように」書くと良いかと。そこに「自分からしか出ない発想」があると尚良しですね。
あとは追い詰められた時ほどそれまでの積み重ねが出てきますので、デビュー前の苦悩もいつかプロになった時のための訓練だと思って、楽しんで書くと良いのではないでしょうか。


書籍情報

著者について
著者:秋堂カオル
『神託学園の超越者<トランセンダー>』で第五回GA文庫大賞〈奨励賞〉を受賞。同作品でデビュー。
GA文庫ではほかに『ギルティ・アームズ』(全3巻)を刊行。
また、現在はSNSゲームのシナリオも数多く手がける。

イラスト:がおう
イラストレーター。
「魔眼のご主人様。 (TOブックスラノベ)」、「二度転生した少年はSランク冒険者として平穏に過ごす (アース・スターノベル) 」挿絵、ゲーム「FEG」「ラストイデア」 メインビジュアルなど幅広く活動

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